アイデアはどう磨けばいい?Moon Creative Labでは、新しい事業を生み出すために、三井物産およびグループ社員からの新規事業アイデアを募るピッチイベントを定期的に実施しています。イベントでは本番直前まで、Moonのデザイナーやプログラムマネージャーがメンターとなり、アイデアオーナーの構想やピッチデッキをブラッシュアップ。ここではそのコーチングの内容やチェック項目を解説します。
目次
ピッチ直前までブラッシュアップが必要になる理由は、アイデアオーナーに熱意があればあるほど、ビジネスアイデアの説明資料が混乱しがちだからです。自説を補強するためにあつめたリサーチ結果やアンケートなど、事前準備に時間をかけるほど情報は増えますが、アイデアを初めて聴く人がその場で理解できる情報量は限られているため、要点を絞り情報を整理することが必要になります。
Moonはピッチ直前に60分間のコーチングを行っており、アイデアオーナーとリスナーの認識の差を埋め、アイデアオーナーが自信を持ってピッチを行い、リスナーが理解しやすい状態をつくれるよう、下記の内容を伝えています。
これらのプロセスを経て、ピッチ前までにピッチデッキやトークスクリプトの完成を目指します。
60分間のコーチング時間内にデッキを完成させることはできませんが、コーチングでブラッシュアップに必要な材料をアイデアオーナーに提供し、その後も継続的にコミュニケーションを取りながら、修正を繰り返してアイデアやピッチデッキの内容を整理していきます。
ピッチの予備知識では、Moonが主催するイベントの設計に合わせてアドバイスを行います。Moonのイベントのピッチ時間は5分間のため、5分間を想定してつくられたアイデアオーナーのデッキに対してフィードバックを行います。
ピッチ構成の理想像では、次の項目で紹介している参考例をもとに、アイデアやピッチデッキの完成形をイメージしていきます。
ビジネスアイデアやピッチのわかりやすさは、リスナーの理解度や共感度に直接影響するだけでなくビジネスのグロースにも影響します。そのため、コーチングでピッチの改善点をシェアすることは、ピッチデッキだけでなくビジネスアイデアそのものの改善にもつながります。アイデアを練る段階から意識して損はありません。
ビジネスアイデアの情報をピッチデッキにまとめていくにあたり、ウェブサイトやSNSで紹介されている過去の成功事例などが参考にあります。ここでは、その一部を紹介します。
■Best Pitch Decks
Best Pitch Decksは、さまざまなスタートアップ起業がピッチで使用した「勝利デッキ」を集めたサイトです。Facebook、Spotify、WeWork、Airbnbなどのデッキが閲覧できます。
Website:https://bestpitchdeck.com
■Pitch Deck Hunt
Pitch Deck Huntも上に同じく、さまざまなスタートアップ企業のピッチデッキが参照できます。Shopify、Uber、LinkedIn、Coinbase、DropBoxなどの例も。
Website:https://www.pitchdeckhunt.com
■How to Pitch Your Startup
How to Pitch Your Startupは、スタートアップの事業支援を行うシードアクセラレータ「Y Combinator」のケヴィン・ヘイルさんによる解説動画です。とくに、Be Clear(05:08)、Example Pitches(12:30)、Be Concise(20:09)は、わかりやすいピッチをつくるためのヒントが解説されているためおすすめです。解説内容がテキスト化されたページもありますが、動画ではスライドを使って解説を行う様子そのものが参考になります。
YouTube: How to Pitch Your Startup(Kevin Hale)
■Great example of pitches via Y Combinator
Launch Houseの共同創業者、マイケル・ホウクさんがTwitterで紹介した、9つの勝利デッキ事例です。3分未満で構成された動画の構成を参考にできます。
Twitter:@callmehouck
アイデアをよりわかりやすくかつ印象深く伝えるためには、ピッチ全体の構成が重要です。必ずしも一概には言えませんが、下記3つのポイントを考慮することで、一連の流れがつくりやすくなります。
①前半・盛り上げる
②中盤・データを提示する
③後半・印象づける
この3つのポイントに合わせて、それぞれ下記の要素が説明できているかを確認します。
ピッチ冒頭では、自己紹介の構成要素を明確にし、聞き手にとって注意深く聴く必要があると思えるような理由の明確化を行なうことで、聞き手の心を掴むことを目指します。
なかでも重要なのは、一言でアイデアを説明できるかどうかです。スタートアップの事業支援を行うシードアクセラレータ「Y Combinator」のケヴィン・ヘイルさんは、先に紹介した動画でその重要性を、口コミによる事業グロースにつながるからだと説明しています。
一言で興味深い内容を答えられれば、聞いた人はほかのだれかにそのことを話したくなる、そのシンプルさが口コミの拡散につながるという考えです。
中盤では、その主張を後押しするデータや根拠を確認します。その際は、事業スタート時を想定した国内データと、グロース後を想定したグローバルのデータというように、複数の視点から確認することで戦略を伝えることもできます。
後半の印象づけでは、一番伝えたいこと、リスナーの記憶に残したいことを強調しましょう。いくつものピッチを聞くリスナーに強い印象を残せれば、選ばれる可能性は高まります。
これらのプロセスを経てビジネスアイデアやピッチデッキのブラッシュアップを行なった後は、リハーサルによって微調整を行っていきます。
話すスピードや、使用する機材の影響、緊張による想定外の出来事の発生によるタイムロスなどを考慮しながら、時間を有効に使えるようトークスクリプトを準備し、実際に話す練習を積み重ねて本番へと備えます。
このときに「できるだけ多くの人からピッチのフィードバックをもらう」ことが重要です。初見で聞いた人の意見を取り入れながら、目の前のリスナーが理解できるかどうかを確かめていきましょう。
Moonが提供している60分間のコーチングで得られるのは、基本的に改善点の洗い出しのみです。その原石となるアイデアは、一人ひとりの洞察力やリサーチの結果得られた情報によって形づくられます。
上記はビジネスアイデアのピッチだけでなく、一般的なベジネスの現場で、取引先への提案や社内に事例を共有をする際にも応用できるのではないでしょうか。ぜひここで紹介したブラッシュアップの視点を参考にしてみてください。
「Moon Story Blog」では、ほかにも起業に役立つヒントや事例を多数掲載しています。
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