Moon Mediaは、その土地の魅力とそこで出会う人々の起業家精神が交差して生みだす創造性を伝えるショートフィルム第2弾「KINMI: Brewing the Future of Sake」を公開しました。
高齢化が進む神山町の活性化に焦点を当てた第1弾「Kamiyama: The Little Town With Big Ideas」に続き、今回は日本の伝統産業である酒造りに焦点を当て、酒造業界がいかに新しい醸造方法を取り入れているかを紹介します。
ここでは、ショートフィルム第2弾撮影の背景について、Moon Creative LabのChief Creative Officer、マイク・ペンが解説します。
KINMI Sakeのストーリーを知ったきっかけは?
マイク・ペン:私が古原忠直(こはら・ただなお)さんと出会ったのは、2011年に初めて東京に引っ越してきたときでした。当時、彼はまだベンチャーキャピタルで働いていて、日本酒愛について語っていたことを覚えています。彼が会社を辞めて新しい日本酒ブランドを立ち上げたことを知ったのは、それから数年経ってからです。私は週末にファーマーズマーケットへ行き、彼のブースを訪れていました。
このストーリーを世界中の人々に伝えるべきだと考えた理由は?
いつか、古原さんとKINMIのストーリーを伝えたいと思っていました。まず、東京大学とスタンフォード大学ビジネススクールを卒業し、ビジネスパーソンとして信じられないほど成功していると言える彼のような人物が仕事を辞めて情熱を追求するというのは、とくに日本では珍しいことです。言うまでもなく、伝統的な業界で新しい日本酒ブランドを立ち上げるのは大変だったに違いありません。聞いてみたいことは山ほどありました。
実際にどうやったのか?
なぜそうしようと思ったのか?
KINMIはどう変わっていったのか?
なにが目的だったのか?
こうした疑問に彼がどう答えるかを伝えることで、新しいことを始めようとしている多くの人々にインスピレーションを与えることができると考えました。
撮影からどんなことを学んだ?
撮影中は、古原さん、酒蔵、杜氏、米農家、地元の漁業関係者、飲食店など、KINMIの酒造りに関わる人々が持つ関係性の深さに驚かされました。同じ目的を共有する仲間であるという意識が、場の空気から伝わってきました。
私たちは皆、最高の製品や体験をつくるためにどうすればいいかを日々考えますが、ものづくりへのプライドをビジネスの世界で持ち続けることは、日に日に難しくなっていると感じます。撮影中も同じことを感じました。
撮影中、とくに心に響いた瞬間やアイデアは?
一つの瞬間とは言えないかもしれませんが、強いて言うなら、撮影中は酒造りの工程を見ながら、そのすべての仕事の厳密さに驚かされてばかりいました。生酒や無濾過生原酒を造るのは並大抵のことではありません。温度、湿度、タイミングなどといった細かな条件すべてを隙間なく埋めるように、適切に満たしていく必要があります。そうでなければ、酒はそのポテンシャルを十分に発揮できません。
本作はプロダクト製作の舞台裏を伝える映像作品として、間違いなく酒造りに関連するあらゆる工程への感謝や理解が深まる内容になっています。
初めてこのショートフィルムを見た人とどんなことを話してみたい?
Moon Mediaの作品に共通しているのは「ビジネスのあり方は一つではない」という感覚です。お金のためだけである必要はありませんし、なにか良いことをするチャリティー活動のためだけである必要もありません。利益と目的、リーダーシップとコミュニティ、ビジネスと創造性、人間性と自然など、そうした物事の間にある第3の道が世界中に存在します。そして、日本はその割合が大きいように感じます。
私はそういった一つひとつのストーリーが、他の国の人々にインスピレーションを与えるだけでなく国内の他の地域の人々にとっても、「こういうことができるかもしれない」という会話を生むきっかけになったらと願っています。
このショートフィルムを観た後、観客にどんな行動を起こしてほしい?
組織的な観点から言うと、人々や企業が、利益を超えて世界における自分たちの目的とは何か、そして同じ目的を共有する他の関係者とどうすればもっと協力しあえるかを深く考えるきっかけになったらと思っています。
個人的な観点からは、起業が誰にでもできるものではないとわかったうえでですが、少なくとも人生の中で何度かは、自分の人生に目的や喜びをもたらすような新しい価値を創造することについて、考える時間を持つきっかけになったらと思っています。
神山町の作品に関するアップデート、Moon Mediaの今後について
神山町を紹介した「Kamiyama: The Little Town With Big Ideas」は、いくつかの映画祭でオフィシャルセレクションに選ばれました。「HOLLYWOOD SHORTSFEST」「San Jose International Short Film Festival」「Documentaries Without Borders International Film Festival」「THE SAN FRANCISCO INTERNATIONAL FESTIVAL OF SHORT FILMS」などです。
今後の撮影については、いくつかアイデアがあり計画中です。これまで私たちは、日本国内におけるビジネスと創造性の交差に焦点を当ててきましたが、そこに「持続可能性」という要素を加えたいと考えています。
---
Moon Mediaとは?
Moon Mediaは、三井物産株式会社の新ビジネス創出に命を吹き込むベンチャースタジオ「Moon Creative Lab Inc.」の一部門です。日本に存在する、創造性と起業家精神を兼ね合わせた刺激的な人々や場所を紹介するために発足しました。
第2弾となる最新作「KINMI:Brewing the Future of Sake」はこちらから。ぜひ、ご家族やご友人とお楽しみください。
第1弾「Kamiyama: The Little Town With Big Ideas」はこちらから。
※編集後記
能登半島は日本漁業の中心地の一つとして世界的に知られています。このショートフィルムは、能登が土地に根付いている食文化や環境の持ち味を反映した独自の日本酒を創造していることを評価しています。
KINMIは漁業者と提携して、産地直送の刺身と日本酒をペアリングしたボックスセットを提供しており、特別な選択肢として歴史ある能登町の日本酒を選んでいます。能登は、地域社会の生活、文化、生産物が、その特徴的な日本酒の味に織り込まれている完璧な例と言えるでしょう。
残念なことに、能登半島は1月の震災による影響で多くのものが失われました。被災地域の復興支援をご検討ください。
・石川県「令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害義援金の受付について」https://www.pref.ishikawa.lg.jp/suitou/gienkinr0601.html
・日本赤十字社「令和6年能登半島地震災害義援金(石川県、富山県、新潟県、福井県)」
https://www.jrc.or.jp/contribute/help/20240104/
Share on
日本のコーヒー文化をよりサステナブルに変えたいと消費者の購買習慣の変革に取り組む関口さん。「Spark」や「Learning Labs」を通して得た体験や、実際に行った検証とは?
Moon recently opened its Palo Alto studio doors to the entrepreneur and startup community by holding a breakfast and networking event. Founders, investors, and entrepreneurs attended and shared creati…
VOOX releases the Audiobook Mizukioka’s “What does Artificial Life reveal about us?”. …
Naohiro Hoshino, EIR of MetaJob, was interviewed in Works, the journal of the Recruit Works Institute. Under the theme “The optimal solution between remote and office: who chooses where to work”, the…