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社内ツールから新サービスを立ち上げ 三井物産子会社MBSDの学び

2022/11/08

商品化の予定がなかった「社内ツール」を見直すことで、新しいサービスを生みだすことに成功した事例を紹介。三井物産セキュアディレクション株式会社(MBSD)が体験したイノベーションのプロセスとは?


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新しい製品・サービスを始めるためのヒント 

  1. 思い込みを覆す
  2. 顧客を理解する
  3. すばやく具体化し、市場に問う。 

社内ツールから新サービスを立ち上げた、三井物産子会社MBSDの学び

イノベーションとは、簡単に言うと「新しいことをする」こと。その「新しいこと」は、今すでにあるものを別の方法で利用することで創り出すことも可能です。

実際に、三井物産セキュアディレクション株式会社(MBSD)のチームは既存のツールを見直すことで、新サービスや新しい収益源を生み出しました。

三井物産が100%出資する子会社MBSDは、日本のITセキュリティサービス業界のリーディングカンパニーです。脆弱性管理、ペネトレーションテスト、マネージドセキュリティサービス、サイバーセキュリティコンサルティングなどの幅広いサービスを提供しています。

セキュリティの専門家で構成されたチームが、顧客情報を保護するために、ハッカーの攻撃手法に関する深い知識と、きめ細かいサポートを組み合わせ、サイバーセキュリティ対応に必要な高度な技術を提供しています。

2年前、MBSDのエンジニアチームは、高度な機械学習技術によって、Webサーバー上のソフトウェア動作を追跡して把握できる独自のツール「GyoiThon」を開発しました。Webサーバーの急増と共に、企業がビジネスをサポートするために導入しなければならないサービスも増えるため、ソフトウェア動作の追跡が大きな課題となりえます。OSやミドルウェアのソフトウェアアップデートを確実に実行し、セキュリティリスクを軽減するためには、ソフトウェア動作の追跡が欠かせません。その解決策として、「GyoiThon」は非常に効果的でした。

エンジニアチームは当初、「GyoiThon」を製品やサービスとして企業に販売するつもりはありませんでしたが、ニーズがあることは分かっていました。そして、サービス化がプロジェクトとしてスタートすることになります。

では、社内ツールを企業向けに販売するには、どうしたらいいのでしょうか?何から始めるべきなのでしょうか?プロジェクトリーダーの実体験を紹介します。 

1. 思い込みを覆す  

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林 曜
MBSDのR&D部長兼IOTビッグデータ事業部長

「このプロジェクトをどう進めていけばいいのか分からなかった」

MBSDのR&D部長兼IOTビッグデータ事業部長の林 曜さんは、当時をこう振り返ります。

「私たちのチームには、市場や顧客ニーズをよく知る非常に経験豊富なエンジニアがいましたが、その認識はすでに過去のものとなっていました。Moonのメンバーと話を進めるにつれて、私たちは原点に立ち返り、お客様の真のニーズを理解し、本当に必要とされているものに一歩ずつ近づく努力をしなければならないと気がつきました」

林さんとMBSDは、Moon Creative Labのチームと協力し、これまで信じていた顧客とそのニーズに関する前提を見直し始めました。潜在顧客のペルソナを明確に定義し、ユーザーの立場に立って考えながら、顧客ニーズを新たに明確化することを目指したのです。

2. 顧客を理解する 

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Vlad Almonnord, 
Moon Design Director

「エコシステム全体を明確に可視化したいと考えていました。実際のエンドユーザーは誰なのか、どんな人に向けて売っているのか、彼らはどのような日常を過ごしているのか?この新しいサービスはどのように彼らの重要な判断を手助けできるのか?プロジェクト全体に光が差し込み始めたのは、ユーザーに心から共感できるようになってからでした」

Moon Creative Labでデザインディレクターを務めるブラッド・アルモノルドは、「エコシステム全体の明確な可視化によって、組織内のITチームが直面しているいくつかの課題が明らかになり、複雑な業界構造をより人間らしくすることができた」と話し、その効果についてこう振り返りました。

「情報の種類や粒度は、エコシステム内の利害関係者や意思決定者によって異なります。このプロジェクトは、既存のサービスの提供範囲拡大だけでなく、バリューチェーンに関わる様々な関係者に合わせた実用的な情報提供の明確な方法を発見することにも役立ちました」

3. すばやく具体化し 市場に問う 

その後、MBSDはMoon Creative Labのチームと協力し、既存の技術「GyoiThon」をベースに、「CAAV(Continuous Assessment of Asset and Vulnerability)」というサービスを考案、そのプロトタイプを構築しました。そして、直接ユーザーから得たフィードバックをもとにユーザーエクスペリエンスを改善しました。

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CAAVのサービスは現在販売中。有料顧客の獲得にも成功しました。この新サービスによって、MBSDに新たに顧客と対話する機会が生まれただけでなく、会社の新たな収益源を生み出すことにも繋がりました。

CAAVの事例は、ゼロからのスタートでなくとも、イノベーションが生み出せることを証明する一例でしょう。既存のものをまったく新しい方法で使うことで、新しい価値を生み出せる可能性があるのです。

MBSDのウェブサイトはこちらから、CAAVのウェブサイトはこちらからご覧ください。

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