Venture Stories

コロナ禍で生まれた「新しい人間中心のHRソリューション」とは?|Ascend

2022/12/08

Moon Creative Lab(以下、Moon)がパンデミック後に新しく創り出した新入社員用オンボーディングツール「Ascend」。その開発時に用いられたのは「Human-Centered(人間中心)」のデザイン思考です。ここでは、その考え方がどのようにHR(人事)領域のプロダクトへと作用したのかをツールの紹介とともに解説します。


Ascend+Moon+Original.png

「Ascend」プロジェクトからの学び

  1. Human-Centered(人間中心)のデザインとは?
  2. 個人の体験を深く想像してインスピレーションを得る
  3. どうすれば人間中心の考えを使ってプロダクトをデザインできるか 

1.Human-Centered(人間中心)のデザインとは?

ハーバード・ビジネス・スクールは、「Human-Centered(人間中心)」のデザインをこう定義しています。

“開発プロセスの中心に実在する人々を置くことで、実際のニーズに合ったプロダクトやサービスの創造を可能にする問題解決テクニック”
Reference|WHAT IS HUMAN-CENTERED DESIGN?

では、私たちはこの考え方をどのようにしてプロダクト開発へと取り入れることができるのでしょうか?Moonでは、とくにHRの領域に必要不可欠なものだと考えています。

パンデミックで見えた社員の変化

パンデミックの影響で多くの人の生活スタイルが変わりました。未曾有の危機を乗り越えるために、新しい生活・働き方に適応する必要に駆られた人は少なくありません。ときには孤立して働くことを強いられ、物理的な距離が人と人との繋がりを希薄化し、集団行動に慣れた自分の仕事の価値を見直すことにも繋がっていきました。

MoonのHRチームは、その変化をメンバーから感じ取っていました。そこで着目したものの一つが、当時行っていたオンボーディングプロセスです。オンボーディングは入社手続きを含む職場環境に早く慣れるためのプロセスです。私たちは、このプロセスが、体験する社員全員にとって、自分は尊重されていると感じられるものかどうかを確かめたいと考えていました。

そのために「人間中心のデザインを使い、どうすればリモートワーク環境でも人と人のつながりや信頼関係をより良く築けるようになるのだろうか」という問いを立て、調査を始めることにしました。

Ascend.png

2.個人の体験を深く想像してインスピレーションを得る

オンボーディングプロセスは、新入社員にとって極めて重要なものです。新メンバーの最初の一歩に寄り添うことが、仕事への満足度に直接影響すると私たちは信じています。

そこで私たちは、複数の企業のオンボーディングプロセスを詳しく調査をすることにしました。すると、ある共通の課題が見えてきました。多くの場合、準備されていたのはチェックリストで埋められた1ページの資料のみでした。

チェックリストの20項目を完了すればオンボーディングは完了。それは非常に単調で退屈なプロセスで、人間中心であろうという私たちの価値観からかけ離れたものでした。個人の体験やニーズを理解する前に、会社の業務効率化を第一に考えているように見えました。

私たちは、この気づきからインスピレーションを得ます。

オンボーディングで、必要な情報を素早く伝えながらも、より楽しく、インタラクティブで、人間味に溢れた体験を創りたい!そう考えはじめました。

HRの業務で何かツールが必要になったときは市場にあるものを使うのが一般的です。自分たちでツールを開発することは、ほとんどありません。

しかし、Moonは新しい大胆なアイデアを生み出すための場所です。私たちはこのアイデアをもっと深く探求するべきであり、シンプルにできるはずだとも感じていました。

3.どうすれば人間中心の考えを使ってプロダクトをデザインできるか 

パンデミックが始まり2年余りが経過したいま、私たちは「Ascend」 と呼ばれるMoon専用のオンボーディングツールの開発に取り組んでいます。

「Ascend」は、入社日の2週間前に新メンバーを迎え入れ、90日間で私たちが持っている価値観、これまでのプロジェクトのことなど、Moonに関するすべての情報を提供するオンボーディングエクスペリエンスです。

新メンバーが会社に早く適応できるよう十分なプロセスを提供し、入社直後から自信を持って業務に集中するための環境づくりをサポートします。誰もが自分のために作られたものだと感じられるようなプラットフォームの開発を目指しています。

新しいチームに歓迎され、早い段階でチームに貢献できたと感じられれば、自信を身につけることにも繋がります。人間中心のアプローチとユーザー体験を追求すれば、全体的な仕事のパフォーマンスと従業員の満足度は向上するはずです。これが、人間中心のデザインがオンボーディングプロセスの改良に非常に重要だと、私たちが強く信じている理由です。 
 

何かをゼロから構築するのは大変な作業ですが、問題解決を目指すときには、まず人間を中心に考えたアプローチをおすすめします。きっと目指す道を照らす北極星になるはずです。解決策が目の前の誰かのニーズに共鳴したとき、問題解決のハードルは下がり、実現できる可能性は高まります。

この学びは、「Ascend」をゼロから構築していくなかでも大いに役立ちました。 

文/モニーク・ライリー
HR Business Partner
monique@mooncreativelab.com

Share on

Related stories

多言語チームを管理し、文化の多様性を生かす方法とは?

Read More

日本のコーヒー文化をよりサステナブルに変えたいと消費者の購買習慣の変革に取り組む関口さん。「Spark」や「Learning Labs」を通して得た体験や、実際に行った検証とは?

Read More

キャリア提案をマップ化して提供する「Career Forth」。そのアイデアが生まれたきっかけは?

Read More

News

Moon recently opened its Palo Alto studio doors to the entrepreneur and startup community by holding a breakfast and networking event. Founders, investors, and entrepreneurs attended and shared creati…

VOOX releases the Audiobook Mizukioka’s “What does Artificial Life reveal about us?”. …

Naohiro Hoshino, EIR of MetaJob, was interviewed in Works, the journal of the Recruit Works Institute. Under the theme “The optimal solution between remote and office: who chooses where to work”, the…