サステナビリティに関する議論は世界中で盛んに行われています、関口 友則(せきぐち・とものり)さんは、その中でも日本のコーヒー文化をよりサステナブルに変えたいという使命をもって消費者の購買習慣の変革に取り組んでいます。そんな想いを持っている関口さんが、「Spark」や「Learning Labs」を通してどのような体験を得たのかや、実際に行った検証について紹介します。
目次
20年以上食品・飲料業界での経験を持つ関口さんは、Moon Creative Labが提供する、アイデアの問題定義からソリューションの具現化プログラム「Spark Fall 2023」へ参加し、人間中心的なアプローチを学び、元々行っていたサステナビリティの研究に関するビジネスデザインを具体化していきました。
関口さんは東京大学のグローバルコモンズセンター(CGC)での研究を通じて、日本の消費者がサステナブルな食品を購入することへの関心や購買意欲の欠如が社会課題として存在することに着目しました。関口さんはこの問題を徹底的に探求し、さまざまなソリューションとそれに伴うビジネスモデルを開発しました。
Sparkで関口さんは、結果としてあるコーヒーショップをモデルケースとして、店舗での顧客体験を向上させサステナブル商品への購買意欲を高めるための革新的なアプローチを提示したランディングページを制作・公開しました。
関口さんは「Spark」に参加後、ビジネス、プロダクト、サービスのコンセプトなどを共同で生み出し洗練させることを目的とした実践的でインタラクティブなMoonのワークショップ「Moon Learning Labs(以下、ラーニングラボ)」にチームを連れて参加しました。
そこでは消費者心理を掘り下げた4つのユーザーペルソナとして、環境への影響を重視する「Sustainers」、品質を追求する「Tasters」、社会的トレンドに後押しされる「Trenders」、コーヒーショップ周辺の地域コミュニティメンバーである「Neighbors」を設計。関口さんのチームは、それぞれのペルソナを用いてMoonメンバーとともに現在のカスタマージャーニーを分解し、サステナブルなコーヒー消費へ関心を高めるために何が必要なのかを発見するための、消費者行動の検証方法についてブレインストーミングしました。
その後関口さんは、そこで得た検証方法を実施するために、モデルケースとして使用していたコーヒーショップに提案を持ちかけます。
関口さんが最初のモデルケースとして選んだコーヒーショップは「think coffee Japan」といい、三井物産本店から徒歩5分ほどのところにあります。彼のチームは、ラーニングラボで得た学び・アイデアをもとにして、店内のレジへの導線を活用した2種類の顧客体験パターンをデザインしました。
一つは、レジに向かう前にコーヒーのサステナブルな取り組みについて学んで体験してもらうパターン。もう一方は、何も体験することなく直接レジに向かうパターンです。
前者のパターンは、「Feel」「Meet」「Think」「Decide」を4つのステップとして設置しました。
1.Feel
大型ディスプレイで没入感のある農園のストーリー映像を視聴する
2.Meet
ディスプレイで農園の詳細情報や生産者の画像を見ながらコーヒー豆を手にとって体験する
3.Think
「Simple」「Negative」「Positive」「Fun」「Quiz」というラベルが貼られた、サステナビリティに関連する5種類のコースターのうち一つを受け取る
※利用客に多様な課題について考えてもらうことが目的
4.Decide
アンケートに回答し、実験に参加した謝礼として100円を受け取るか、その100円を寄付するか、どちらか選択する
3月8日〜20日まで実験を行った結果、155人件の回答を集めることに成功。うち133人のユーザーは、ニカラグアやコロンビア、エチオピアへ100円を寄付することを選んでいました。
関口さんはこの結果を次の実験やビジネスモデル開発へと活かすために、現在は詳細なデータを分析中。この実験結果は、CGCが消費者の倫理的な消費感覚を後押しする方法を模索するために行うリサーチにも活用されています。
今回関口さんが行った実験は、日本のコーヒーカルチャーにサステナビリティを根付かせるために重要な意味を持つ長期的な目線を持った一歩でした。消費者をサステナブルな行動へと変えようと一挙手一投足までこだわって考え抜きながら、関口さんのイノベーションへの旅はまだまだ続きます。
「Spark」「Learning Labs」のワークショップにご興味のある方は、Moonのウェブサイトをご覧いただくか、hello@mooncreativelab.com までご連絡ください。
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